荒れるダンナからの逃亡

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慌てて玄関を出たものの、エレベーターは1階に止まっています。

うちは6階。

ダンナがいつも

「遅い!」

と腹を立てているエレベーター…

 

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うちの玄関のドアはどうやってもある程度音がするので

ダンナに気付かれたのでは…

 

急いで階段の方に回った私は

(とにかくダンナから隠れなければ)

と、思わず階段を駆け上がって、手すりの陰に隠れました。

 

身を潜めてすぐ、玄関のドアが開く音とともに、人の気配が。

(ダンナだ…)

自分の心臓がバクバクいうのが聞こえそうでした。

気配は、しばらくホールをうろうろした後、階段に来て

駆け下りていきました。

私はそのまましばらく身動きが取れないまま。

 

頭をよぎるのは

(どうしよう…これから下に行ったら、ダンナと鉢合わせするかもしれない。

でももう新しい家に帰りたい)

ばかり。

 

それでも、いつまでも階段にいるわけにはいかないので

そろりそろりと上の階に上がり、エレベーターホールへ行くと

エレベーターは1階に止まったまま。

でもボタンを押す勇気が出ない…

 

そのままどれくらいエレベーターの前にいたのか…

少なくとも10分以上は立っていたはず。

 

立っている間

(7階の人が出てきたらどうしよう)

などとも思ったけど、そんなのダンナに捕まるのと比べれば、些細なこと。

 

そのうち、1階に止まっていたエレベーターがすっと動き出し

2階、3階……6階で止まり

下から、ドアをバーーーーンと思い切り閉める音が…

(これはダンナでは…!?)

 

それでも身体が動きません。

下に行った途端、急にダンナが出てくるような気がして。

 

そこから10分くらい待って、ようやくボタンを押し1階まで降りると

駅とは反対方向に向かって、いつも駅に向かう広い通りよりも

一回り遠い道を通って、駅に向かいました。

 

電車に乗って、バスに乗って…

ようやく新居に戻ると、猫がニャーと鳴きながら小走りに迎えに来て

思わず涙が…

 

心底ホッとしました…

 

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『毎日が発見ネット』の体験記コーナーで、連載中。

第1土曜日の夜8時台に更新予定です。

最新版は3月2日に更新されました。

言葉の持つ力は侮れない。母の離婚話や結婚生活の愚痴を聞かされて育った私が辿った道は.../くるぴた
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