早朝は多少寒いものの、日が昇れば、辺りはすっかり春の空気です。
猫が早起きになってきて、出掛ける瞬間まで足に纏わりつくようになったのが
嬉しいやら切ないやら。
仕事でとくに注意が必要なのは、不特定の人の出入りがあるところ。
私が担当する中では、病棟のトイレです。
トイレの前に掃除中のプレートを置ければいいのですが、なぜかうちの会社の場合
そういう物がありません。
男子トイレ・女子トイレ・車椅子用トイレの3か所のうち、男子トイレに人が来たら
急いで女子トイレに行って作業をするなどして、できるだけ
『掃除中で患者さんが入れない状態を作らない』ようにしなければならないのです。
基本的に患者さんの邪魔にならないように、朝食タイムの間に済ますようにしているのですが
食事中でも不意にトイレに入りたくなることはあるもの…
掃除中、たまに患者さんと鉢合わせしてしまいます。
今日も男子トイレの個室に清掃に入り、ドアのすき間を開けて掃除中をアピールしつつ
作業を終えて外に出たところ、男子トイレのスペース内にある小便器で用を足している
お年を召した患者さんに遭遇してしまいました。
男子トイレに女の私がいたせいで、驚いたのか、不機嫌そうな声で
「何だあんたは!」
と怒鳴る患者さんを尻目に、大急ぎで
「失礼しましたー」
と女子トイレに行き、洗面所などを掃除しながら男子トイレが空くのを待ちました。
数分が経ち、その患者さんがトイレを出て廊下を歩いて行ったのを確認し
男子トイレに戻ってみると…
2個ある小便器の片方に、丸ごとのトイレットロールが1個、引き出されて
グシャグシャに散乱していました。
小便器も水がある程度溜まっているので、水分を吸って全体にブヨブヨです。
さっきの患者さん以外、誰も来ていないのは確実なので、あの人がやったのは
間違いありません。
濡れた大量のトイレットペーパーは流すわけにはいかず、なかなか処置に困るものです。
小さいゴミ袋を別に用意して、ちぎれそうになる紙をまとめて入れました。
嫌がらせなのか何なのか、よく分かりませんが…
患者さんなので文句を言うこともできず、泣き寝入りです。
私も誰かが来た段階で男子トイレを退去すればよかったのですが
あまり音もせず静かだったので、気が付きませんでした。
その点うっかりしていましたが、そんなことをされなければならない程の
ミスだったんでしょうか…
まあ、いろいろな人が入院しては退院していくのが、病院です。
人当たりの良い患者さんがいれば(早く治って欲しい)と願い
難しい患者さんがいれば(早く退院して欲しい)と願い…
結局どんな患者さんでも、早く治って退院してもらいたいのは変わらないものなのです。