最近はゴミを集める作業の後に、T中さんと出くわすことがよくあります。
みんな大体決まったサイクルで仕事をしているので、時間帯が合うようになると
割と会いやすくなるのです。
今日は特に彼女の方が物凄く話をしたそうな顔で
「ちょっと聞いて聞いて」
と呼び止めてきました。
「今日ね、皆にこの話ばっかりしてるんだけどね。
なんていうか、頭の誤作動みたいな感じなのかもしれないけど
でもちゃんと見えたんだよね。
昨日さぁ、仕事が終わって、そこの流しでモップを洗ってたんだ。
そしたら濃い青の制服を着た助手さんが、スーッと
左側の視界に入ってきたんだわ。
窓のほうに行ったから、外を見に来たのかなと思ってさ。
でも洗面所を出て行く感じがなかったんだよね。
で、ふと左を見たら誰もいないの。
うわぁと思ってさ。
なんかもう、誰かに言いたくてたまらなくて」
とくにこの病院で過去に亡くなった職員さんがいるような話は
聞いたことが無いのですが…
しかしT中さんがモップを洗うのは、午前10時台前半。
寝呆けるような時間帯ではありません。
実は私も以前、患者さんが居るはずのない早朝の職員用トイレで
患者さん用の寝巻きを着た男性が、個室にドアを開けたまま入っていて
次の瞬間には居なくなり、ギョッとした事があります。
多分、T中さんが言うところの『頭の誤作動』、平たく言えば
見間違い、勘違いの類ではないかと思われるのですが…
私たちが担当している棟は整形外科なので、内科とは違い
亡くなる患者さんはほとんどいません。
少なくとも私が勤め始めてからは誰もいませんでした。
それでもやはり病院という建物には独特の空気があるのでしょうか。
そういうモノを脳が勝手に見てしまう下地が、何かあるような気がするのです。
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