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話し相手になるのは禁止

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M村さんが掃除したところを見た定期清掃の人に「もっと丁寧にやれ」というようなことを

言われてから、一晩経った昨日。

 

何となくモヤモヤを抱えつつも、M村さんにはそのことは言わないでおきました。

事実がどうだったかは、定期清掃でワックスがけ迄終わった今は確認のしようがありません。

 

これが自分のやったところが言われたのだったら、どの程度掃除しておいたか

分かっているので、まだスッキリするのですが…

 

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でもこの1カ月、住人の人からは掃除の仕上がりについて苦情が出たことは無いし

このまま管理会社から注意が無ければ、問題は無いでしょう。

とりあえず一旦忘れることにして、いつも通り掃除を始めました。

 

ホウキで掃く廊下や正面玄関などはいつも通りですが、エレベーターホールなどの

定期清掃が入った場所はさすがに綺麗になっていました。

元々建物が古いのでピカピカにはなりませんが、モップの滑りが良くなった感じです。

 

科学雑巾のモップで埃を取るだけじゃ、こうはいかないよなあ…と思いながら

作業を勧めていると、たまに通りかかっては挨拶する住人の女性とすれ違いました。

 

多分70代中盤くらいですが、通勤や買い物に出る感じではなく、いつも自宅にいる時のような

普段着を着て、棟内を散歩している人です。

 

運動不足を解消するためか、マンション内を歩いている高齢の方はたまにいるので、普通に

「おはようございます」

と声を掛けました。

 

すると、その人も

「おはようございます」

と応えたものの、もじもじした感じで、なかなかその場を離れないのです。

 

そして

「あなた、どちらから来てるの?」

と話しかけてきました。

 

10年前、初心者だった時に当時の管理人さんから

 

「住人に話しかけられても、挨拶以外は長引かせないようにして欲しい。

あと、プライベートなことは聞かれても答えないように」

 

そんな風に言われたのを思い出しました。

 

なんとかぼかそうと

「◯区の端っこの方です」

と答えると

「駅だと、どこ?」

と話を繋いできました。

 

これはちゃんと断らなければと思い

「申し訳ありません、仕事中の私語は慎むように言われているので」

と答えると

「えっ、そうなの、厳しいのね…じゃあ」

そう言って、女性は少し眉をひそめたものの、たくさんドアが並んだ廊下を歩いて行きました。

 

断り文句が冷たく聞こえなかったかとか、禁止されていなければ…などと

思うところはいろいろあって、なんとなく気が咎めるのですが…

 

こちらも上から言われたことだし、話をしながらだと

やはり作業効率も落ちる感じがするので、お断りするしかないのです。

 

昔は断るのがとても苦手でしたが、今は仕事として割り切れるようになってきています。

その間に離婚も経験したし、中高年としての立場で、それなりに社会にも揉まれてきました。

10年の歳月で、自分も変わったな…と思いつつ、清掃作業に戻った朝でした。

 

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最後まで読んで下さって、ありがとうございました



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