雪が降るようになってから、出勤時に自分以外に歩く人を数人見かけるようになりました。
通勤・通学で余裕をもって、家を早く出る人が多いのでしょう。
寒そうに身を縮めながら、重心を落として歩いて行きます。
昨日も一日のノルマを終え、休憩室に戻ると、S木さんとY崎さんがいました。
挨拶をして中に入り、話す2人の話に聞き耳を立てると、どうやらS木さんが
Y崎さんに体菜の粕漬を進めているようでした。
私が誕生日プレゼント(?)にもらった、アレです。
しかしY崎さんはまだ若いので、あまり気乗りしていない様子。
S木さんが
「お酒飲むんだったらアテになるし、自分で言うのも何だけど結構自信作だよ。
くるさん、あれ食べてどうだった?」
と、急にこちらに話を振ってきたので、咄嗟に出た言葉が
「あれ、普通に美味しいですよね」
でした。
あっ…
いやいやいや…
「普通に」美味しいって、誉め言葉としてはイマイチ過ぎるでしょ…
S木さんの表情が、ほんの一瞬止まりました。
焦っていると、S木さんはすぐいつもの雰囲気に戻り
再びY崎さんに体菜を勧め始めましたが…
なんとなく居たたまれない気持ちになり、そそくさとコートを着て
職場を後にしました。
口が滑るというのは、こういうことでしょうか。
まあ言っちゃったものは仕方がありません。
何でもない日常会話の中のちょっとした失言が、時間と共に風化して
記憶から消えていくのを待つのみです。