財布を拾ったけど。
今日、仕事の帰り、駅の椅子の
下に何かが落ちているのを
発見したのです。
黒い、革っぽい長財布でした。
紳士物です。
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これまでの人生で、財布なんて
拾うのは初めて。
中を見ていいのか、迷いましたが
財布に、妙な軽さと柔らかさを感じ
ちょっと開いてみたら
空っぽでした。
お札も硬貨もカードも入ってなくて
何かこう、誰かが中身だけ抜いて
捨てたような感じ。
ただ、財布自体はまだ新しく綺麗です。
ちょっと迷ったけれど
一応、駅の職員さんのいる場所に
持って行きました。
「これ中身は？
入ってなかったですか？」
と聞かれて
「最初から何も入ってなかったです」
と答えました。
それ以上は何も
言われなかったけれど
何となく、気不味いですね。
実際に拾った段階で
すでに何も入ってなくても
証明なんて、できないですから…
それでも、自分で中身を抜いて
わざわざ財布だけ拾得物のところへ
持っていくような酔狂な人は
あまりいないので
そんなに疑われたりした訳でも
ないとは思うのです。
でも、財布の持ち主の人は
失くした財布が駅で見つかれば
喜ぶだろうに
中身は空だと知ったら
かえってガッカリしますよね。
なんというか、この、持ち主も
拾った私も、手間が増える駅員さんも
三方一両損な感じ……
どうにかならないものでしょうか。
唯一得してるのが、財布の中身を
抜いた人だけ、と言うのが
まあ、やるせないものです。
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＊『毎日が発見ネット』の体験記コーナーで連載中。
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