冬の陽射しがほんのりと熱を伴って、辺りを照らした午後。
それでも寒さはひとしお。
夜のうちに雪が氷に変わったまま、溶け切らずに道にへばり付いていました。
月曜日から出勤しているはずの新しいパートさんに、今日ようやく遭遇しました。
仕事が一通り終わって、後片付けをする専用の流し台がある場所で。
普段の仕事中は周囲にいるのが、患者さんの他は先生や看護師さんや助手さん
理学療法士さんなどがほとんどなので、たまに同じ清掃の制服の人を見るとホッとします。
新人さんはO野さんという名前で、52歳だというのは
月曜日にS木さんから聞いていました。
O野さんは実際に会ってみると、背が高く真面目そうな感じの人。
「お疲れ様です、くるぴた(仮名)です」
と話しかけると
「はい、どうもお疲れ様です。
O野です、初めまして」
と、よく通る声で明るく返事をしました。
ああ、これは、S木さんが気に入りそうな感じの人です。
とりあえず人当たりの良さそうな人で、こちらも安心しました。
しかしここで問題が…
後片付けをする専用の流し台というのが、一人分しかないのです。
普段は他の人とは終わる時間が微妙にずれているので、かち合うことは少ないけれど
今回は不慣れな者同士で、同じくらいの時間に作業が終わったようでした。
お互い「どうぞどうぞ」と譲り合いになりましたが、私は洗い物の他に
掃除機を片付ける用事もあったので、先にそちらを済ませることにして、事なきを得ました。
それにしても、S木さんにせよT中さんにせよ、今の職場の先輩はアクの強い人が多いので
普通に明るい雰囲気のO野さんが、このまま居着いてくれるとありがたいと思いつつ…
業務用の重い掃除機を手に提げて、階段をゆっくり下りたのでした。