昨日、家に帰った後にS木さんから電話があり
「あのさあ、CT室の前に掃除機持ってったかい?」
と尋ねられました。
心当たりが無いと答えると
「ふーん、じゃあ誰かが持ってったんだね」
と、その場で一旦、話は終わりました。
今日になって仕事中、備品を取りに『道具入』と称される小さい倉庫のところに行くと
立ち話中の課長さんとS木さんの姿。
こちらに気付いた課長さんが
「昨日さあ、うちの掃除機を部外者が無断で持ち出して、CTの前に放置したらしくて
病院から苦情が来たんだけど、くるさんは知らないよね?」
と声を掛けてきました。
そこへS木さんが間髪入れずに
「くるさんは昨日、私が電話して聞いたけど知らないって」
と代わりに答えます。
道具入は病院自体の持ち物の掃除用品とは別に、私たちが雇われている清掃会社専用の
道具や備品が入っている場所。
そのため病院関係者でも、無断で中のものを使ってはいけないのです。
備品を取りながら、2人の話に耳をそばだてていると
「道具入れの扉に鍵を付けるか」
と課長さんが言うのが聞こえてきて、これは困ったと思いました。
もしもそれが実行されたら、私だけでなく清掃パートの全員が
不便を強いられることになります。
出勤時間は基本的には早朝の5時台ですが、地下鉄で通勤している人は
6時半スタートの人もいます。
全員に合鍵を持たせるわけにはいかないけれど、鍵を持った人が何かトラブルに遭ったら
道具入が使えず、全員の業務が滞ります。
病院側から時間厳守と言われている現場なので、それはとても困るのです。
それに勤務中は、全員が何度も訪れては道具を入れ替えたり、補充する備品を
取りに来たりするので、いちいち鍵を掛けるわけにもいきません。
(鍵が付くのかな…)と思いながら、仕事を終えて休憩室に戻ると、S木さんが
「課長が道具入れに鍵付けるって言ってたけど、滅茶苦茶反対して
何とか無しになったさ」
とT中さんに熱弁をふるっている最中でした。
実際のところ役職では課長さんが上ですが、現場で実権を握っているのは
S木さんなので、彼女の言い分が通ったようです。
ひとまず安心したけれど、こういうトラブルが多いとまた話が再燃するかもしれません。
道具を勝手に持って行く人が当分現れないように、内心祈りつつ
着替えて、帰途に着きました。