あれじゃ皆すぐ辞めると思ったさ

 

守衛さんの方は、来週からまた研修が始まることになりました。

こちらは清掃とは違って求人広告を打つと、すぐ新しい人が決まります。

ただ実際の仕事が始まると、辞めてしまう人も多いのですが。

 

 

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今朝、休憩室で会った古株の守衛さんが

 

「新人が来ると、また一から教えないといけないから大変だ」

 

とボヤキながら

 

「そう言えば、この間、清掃の新人が1日で辞めたときあったっしょ。

あれ、監視カメラでS木さんが教えてるとこ見たけど、びっくりしたさ。

あれじゃすぐ辞めると思ったわ」

 

と言いました。

普段は準備を早く始めたくて、熱を測ったら後はあまり話が長引かないように

すぐ受け持ちの場所に行くようにしているのですが…

何だか聞き捨てならない話題になり、そのまま守衛さんの話を聞きました。

 

「廊下の隅でなんかゴチャゴチャ説明した後、S木さんがカゴとモップ持ったまんま

新人を置いて行くような勢いで、バーッと奥に向かって走ってったさ。

 

でもって、横の部屋の前にバッバッとカゴとモップをパッと置いてさ。

黒いゴミ袋出して、かがんでゴミ箱のゴミをガッガッと掴んで袋に入れてさ。

 

入れ終わった瞬間にもう、間髪入れずに立ち上がって

ちょっと離れたゴミ箱の所にバーッと走って行って、ガッガッって…

 

なんもなんも、新人も後から走って着いていくのに精一杯で

メモを取る時間も何もあったもんじゃないし

あんな勢いで仕事しないといけないんじゃ、私には無理です、ってなるわ」

 

ああ、と思いました。

物凄く心当たりがあります。

 

ここの研修には３週間かかるのですが、最初の１週間は

ひたすらS木さんに付いて、走り回ります。

彼女はすでに60代半ばなのに、どこにあんなバイタリティがあるのか

不思議でなりません。

 

「メモを持ってるのに、何でメモ取らないの」

 

とは、私も何度もS木さんに言われましたが、取る時間など無いのです。

走り書きみたいなのをして、後から

（これ何だっけ…？）

と思う事もありました。

 

当時は会社の命令だと思って、仕方なく研修を受けましたが

清掃の仕事を未経験の人があれを体験したら退くだろうし

T中さんのような経験者だと反発するのかもしれません。

 

私の場合、実際に独り立ちしてからは、小走りや早歩きはするものの

あんな風にダッシュしながらの作業はしていません。

体力が保たないので…

 

だからS木さんよりは時間が掛かっているし、時間内に仕事が終わらず

サービス残業状態になっているのですが。

 

なんというか…

 

もうこの職場では、業界未経験の人を募るのは無理な気がしてきました。

夜間のパートさんには声を掛けたようですが、あとは日曜専門の人と

社内の別の病院の人をスカウトするしか希望は無さそうです。