「水くさい」とか言われても、まさか本当にかかってくるとは思わず驚きましたが…
それでも20分ほどは話したでしょうか。
当時の施設に勤めていた人達の2割ほどがすでに退職・転職し、人が入れ替わっているとのこと。
私にすれ違いざま皮肉を言ってきた数人の若い子達も、今は退職しているそうです。
「あと1年くらい我慢してたら、あの子らは居なくなってたのに」
そうは言われても、当時は私もかなり腰を悪くして、介護を続けるのは無理でした。
今も重い物を持ちますが、十数㎏の箱と40~60数㎏の生身の人間ではレベルが違うのです。
後に腰椎の一番下の骨を1本、圧迫骨折しているのが見つかりましたが、おそらくあの頃にやってしまったのだと思います。
電話をかけている本人は、まだ介護の仕事を続けるようで、パートから正社員になって、介護職員初任者研修の資格は取ったと話していました。
このまま実務者研修から介護福祉士まで取りたいとも言っていて、少しびっくりしました。
2年前は「他に働き口がないからやっている」といった雰囲気だったのに。
人は変わるものだとしみじみ思っていたのですが、その直後
「それでね、ちょっと相談に乗って欲しいんだけど…
10万くらい貸してもらえない?
学費とかいろいろかかって。
本当に悪いんだけど…」
そう続いて、(ああ…)というか、(やっぱり…)というか…
ずっと連絡がない人から連絡がある時って、こういうパターンばかりです。
何となく少しだけ警戒はしていたけれども、最初から疑うのもどうかと思ったのですが。
出来るだけ申し訳なさそうに
「ごめんね、私も全然余裕が無くて…」
と断りました。
相手も
「そう…そうだよねえ、変な話して悪かったね」
といった後はさほど話も弾まず、じきに電話は切れました。
何だかとても気まずさだけが残り、久しぶりに冷蔵庫に残っていたストロング系のチューハイに手を出して、早めに寝てしまったのでした。