品出しの途中で台車を押していたら、若い女の子のお客さんから声を掛けられました。
「あのー、段ボールが欲しいんですけど」
…そろそろ新生活の準備が始まる季節なんですね。
店長さんに許可を取り、倉庫にあった段ボールを5枚ほど持ってきて渡しました。
思えば4年前のこの時期は、いよいよ離婚を決意して、別居先を探していた頃です。
ネットの賃貸サイトを何度も検索して、数件の物件を下見して…
確か、広さと採光が決め手になって、今住んでいるこの部屋を契約しました。
久しぶりの一人暮らしへの期待と、避けて通れない修羅場を控えて、変にテンションが上がっていたような記憶があります。
部屋を決めた後は、折を見て使わない私物を新居に運び入れる生活がひと月ほど続きました。
引っ越し自体は元旦那が仕事で出掛けている間に一気に済ませたかったので、それまでに少しでも身軽になる必要があったのです。
引っ越し当日に残っていた荷物は、家具・家電が数個と段ボール4箱くらい。
赤帽の運転手さんと2人でどんどんトラックに積んだら、あっという間に終わりました。
猫を入れたペットキャリーを膝に、トラックの助手席に乗ってフロントガラスを見ていると、知った風景がどんどん横にすり抜けて、新しい景色が開けていきます。
あの時がもしかしたら、この10年くらいで一番希望に満ちていたかもしれません。
まあ、そのすぐ後に離婚話を切り出して、ちょっとした修羅場になったのですが…
あれからもう4年なのか、まだ4年なのか。
いろいろあったけれども、なんとか生活してこれました。
まだまだ続くこれからの人生。
できれば波乱なく、良いことの方が多ければなあと思うのです。