階段の近くのスペースで、ダスタークロスに着いた埃を取っていると
下の階からY崎さんが階段を上ってきて
「何か持ってくゴミある?」
と聞いてきました。
多分もう手元の仕事を全部終えたのでしょう。
私はその時点ではまだ30分くらいかかりそうだったので
こちらのゴミも持って行ってくれるのはとてもありがたいのです。
お礼を言っていると、車椅子がスーッとこちらに近寄ってくるのが見えました。
例の、あまり上手くいってない患者さんです。
「○○○号室の左奥ですけど、掃除ってあれで終わりですか」
あっ…と思いました。
○○○号室の左奥の掃除をするとき、この患者さんがベッドの横の空きスペースの
車椅子に座っていました。
「お掃除入ります」
と声をかけたけれど、患者さんは無言で一切動きません。
会社から、空きスペースに患者さんが座った車椅子があるときは無理にモップを
突っ込んだりせず、届く範囲で手早く終わらせるように教わっていたので
その通りに清掃をしたのですが…
ベッドで横になっている患者さんや、どこかに行っている患者さんと比べて
掃除が行き届かない状態ではあったのです。
すみませんと謝罪していると、患者さんは
「もっとちゃんとやってもらえますか」
低い声でそう言うと車椅子を漕いで、立ち去っていきました。
怪訝な顔をしているY崎さんに事情を説明すると
「厳しいね」
と一言だけ言って、ゴミを持つと階段を下りていきました。
急いで○○○号室に行くと、車椅子のないベッド脇には髪の毛が
いくらか落ちています。
すぐにベッド脇とベッドの真下をクロスとモップで掃除して、次の病室に向かいました。
いろいろな条件や事情があったとしても、実際に床が汚れていたら
言い訳はできない仕事です。
次はこういうことが無いように気を付けるしかありません。
などと言いつつも、正直に言えば、やっぱり病院の仕事はもう辞めて
オフィスビルやマンションなどの、直接人と接しない現場の仕事に転職できるならしたい
というのが本音なのですが…
しがらみがあって、難しいところなのです。
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