なかなか寝付けない夜。
起き出して、コップに半分ほど冷えた麦茶を注ぎ、ちびちび飲んでいます。
「ああ、嫌だ嫌だ」
私が「お掃除に入ります」と声を掛けて、病室に入ったら
ベッドの縁に腰掛けていた40代くらいの男性の患者さんが
やにわに立ち上がり、松葉杖を突きながら出ていきました。
そのすれ違いざまに呟いていった言葉です。
患者さんもいろいろな人がいて
「テーブルや椅子をどけて、隅々までやって欲しい」から
「掃除なんかしなくていいから、自分のベッドの周辺には来ないで欲しい」まで
要求が変わってきます。
件の患者さんは後者で、そういう場合はあまり深追いせず、ササッと掃除したり
時には掃除もせずに立ち去るようにしているのです。
とは言え、ずっと何もしなければ埃は溜まるので、放置する訳にもいかず
たまにそこそこ手を掛けて清掃して、その患者さんに嫌われることもあります。
こればかりは仕事なのでどうしようもないし、私が回るのは
整形外科の病棟で、患者さんもそんなに長期入院をしません。
だからしばらく我慢すればいい…
そうは思っていても、それなりに精神的に堪えます。
どんな仕事でも、その職場ごとに違ったストレスがあるものだと
割り切って働いているけれど、解っていてもなお
処理に時間がかかる日もあるのです。