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押し付けられたチョコ

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昨日、まだ朝6時台の早い時間に病棟に折りていくと、ある患者さんが蛇口を前にしながら

何かブツブツ言っていました。

70歳くらいの女性です。

 

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患者さんには挨拶を欠かしてはいけないけれど、長話は禁止なので

 

「おはようございます」

 

と挨拶をして、後ろを通り過ぎようとしたところ、患者さんに呼び止められました。

 

「あのね、お湯が出ないんだけど、どうしたらいいの?」

 

洗面所には普通の蛇口と、シャンプーに使えるような長いホースの付いた蛇口があり

患者さんは長いホースの方で戸惑っているようです。

 

そこは操作法にちょっと癖があるので、目の前で使い方を見せると、その患者さんは

 

「なんか変わってるね」

 

と言いながらも納得した様子だったので、こちらも本来の用事を済ませて

その場から戻りました。

 

他の掃除を済ませて、病室の清掃を始めると、先程の患者さんがいて

 

「さっきはありがとう、これ皆さんでどうぞ」

 

と、チョコレートの箱を渡してきました。

しかし今、うちの清掃会社では、患者さんから物をもらうのは禁止されています。

それを言ってお断りすると、患者さんは遠慮していると受け取ったのか

 

「いいから、いいから」

 

と、私のお腹辺りにチョコの箱をグイグイ押し付けてきました。

そうなるとこちらも無碍に出来なくて、つい受け取ってしまったのです。

 

(まずいな…)

 

とは思ったものの、一旦預かって、全ての掃除が終わった後休憩室に戻って

S木さんに相談すると

 

「ああ…ダメだよ!

こんなのもらって来ちゃ。

飴玉一個とかならまだいいけど…箱とか…

ナースステーションに持ってって、看護師さんに話を聞いて来ないと」

 

そう言いながらS木さんは、チョコをくれた人の部屋の号数とベッドの場所を聞くと

チョコを持って休憩室を出ていきました。

 

しばらくして戻ってきたS木さんに

 

「婦長さんに、気を付けてくれって叱られちゃったさ。

本当にもう勘弁だから、うっかりもらって来たりしないでよ」

 

と言われてしまいました。

 

内心、物をもらわないように言われた時には、痴呆になっていない患者さんが相手なら

そこまで問題にはならないだろうと、軽く考えていたところがありました。

 

でも、どんな人が相手でも一切そういう物は受け付けてはいけないという

厳しい規則だったようで…

 

何だか思ったより大事になってしまい、ひたすら後悔するばかり。

ペコペコ謝りながら、断るのが下手な自分を大いに反省したのでした。

 

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最後まで読んで下さって、ありがとうございました

 

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