仕事を終えた午後、ペットキャリーを提げて、病院へ。
先月から、もう何回通ったことか。
ほんの3㎏余りの重みが、力仕事を終えた手には、ずっしりと感じられます。
帰宅した猫は不機嫌で、おしりをこちらに向け、布団の端にうずくまっています。
首にはエリザベスカラー。
「前のは引っこ抜いてしまったそうなので、細めに付けました」
先生の言葉が甦ります。
細めに、というのは首元をきつくするのではありません。
朝顔型のエリザベスカラーを、花が満開になったような状態ではなく
つぼみが開いたときのような、すぼめた形で装着することでした。
これがまた、餌や水から口までの距離が遠くて食べにくく、毛布にも潜り辛く
不便ったらありません。
しかし普通に装着すると、何が何でも引っこ抜いてしまうし…
可哀想だけど、このまましばらく様子を見るつもりです。
乳腺腫瘍が発覚してからというもの、猫にとっては理不尽なことばかりだと思います。
怖いところにしょっちゅう連れて行かれて、腹は切られるし、縫われるし
服は着せられるし、テープでぐるぐる巻きにされるし…
しかし着せたり付けたりしたものを、猫が一定期間受け入れてくれていたら
2週前には抜糸が終わっているのです。
治療がなかなか進まず、夜中でも何でも叩き起こされ
結局何度も余計に病院にも行かなければならないし…
それはそれで理不尽だと感じてしまいます。
今も黒い糸が通った傷口を見ると、たまらない気持ちになるけれど
正直疲れてきたというのも少しあります。
かと言って途中で投げ出すわけには絶対に行きませんが…
結局、言葉の通じない者同士が、互いの理不尽をぶつけ合って、それでも何とか
折り合いを付けながら、一緒に生きていくしかありません。
早くトンネルを抜け出したいです。