この記事からの続きです↓
「20・・・いや、15万でいいの」
そう先輩は続けます。
「え・・・なんでそんな・・・」
咄嗟にそう言ってから「しまった」と思いました。
まず、「貸せない」という意思を明確にしなくちゃいけなかった。
理由なんか聞いたら、余計に断りにくくなるに決まってる。
「あのね、今ちがうところで仕事してるんだけど
時給が下がっちゃって、生活が苦しいんだー」
「娘さんには言った?」
彼女には娘さんと息子さんがいて、2人とも結婚しています。
「子どもには言い辛くて・・・」
『お金を貸すなら、あげたつもりで貸せ』
と世間では言う人もいるけど・・・
でも頼れるものは自分一人、収入も貯金も大したことが無い50過ぎの自分に
1ヵ月の収入の大半を人にあげられるゆとりなんて、ない。
たとえかつては仕事を教わった相手でも。
それに前のパートを辞めてしばらくたった頃、私は見たことがあった。
先輩がパチンコの開店前の列に並んでいるのを・・・
「ごめんなさい、こっちも全然余裕がなくて・・・」
かすかにすすり泣くような声が聞こえてきて
「そうだよね、そっちだって離婚したばっかりだし」
罪悪感のようなもので胸が一杯になったけど
応じたらきっと後悔する。
「力になれなくて、ごめんなさい」
そう言って、何とか通話を切った。
危なかった。
電話じゃなく直に会って申し込まれていたら、断り切れなかったかもしれない。
疲れた・・・
すごく消耗した・・・
人間の嫌な部分を見た気がした。
先輩のも、自分のも。
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