一時的に介護施設に勤めていた時期がありました。
ほんの2年くらい前だというのに、何だか遠い出来事のような感覚です。
当時の施設は、腰痛を患ったことと、人間関係の厳しさで退職しています。
今朝、その施設に勤めていた50代の先輩が、うちの店にお客さんとしてやって来ました。
いくら札幌が広くて人口が多いとはいえ、当時の勤務先とは同じ沿線です。
当時の誰かとバッタリ出くわしても、不思議ではありません。
しかし午前中の品出しの作業中に声をかけられて、一瞬自分の周りだけ2年の時間が巻き戻ったように感じられ、緊張感が走りました。
彼女の方は普通に笑顔で話しかけてきます。
「いや~、何、今、ここで働いてるの?知らなかった~
電話番号とかも交換したのに、全然連絡してくれないし、水臭いじゃない」
今日、声を掛けてきた人からは、とくに嫌がらせを受けたというわけではありません。
来所したお年寄りのご家族からもらった菓子折りを、その人がこっそり持ち帰ったのを見て
「えっ…」と思ったことはありましたが。
ただその人の声を聞いていると、当時の職場に居づらくなるような出来事の記憶が、芋づる式に甦ってくるのです。
一応仕事中だからと予め断りを入れてから、挨拶程度に少し話をしましたが…
多分こちらから連絡をすることはないと思います。
「水臭い」と言われても、彼女からもこれまで連絡はなかったのだから、社交辞令でしょう。
あの頃に得た知識は決して無駄ではないし、生活を繋ぐためには必要な時期でした。
でもやっぱり自分の中では、あまり思い出したくない過去に分類されている…
それを自覚した、ほんの数分でした。