風が強いものの、気温も上がり、春らしい陽気。
窓際の机の上で、クッションに身を横たえた猫が、外を無言で見ています。
ごめんと何度も声を掛け、謝りながら早朝の病院に出勤しました。
ゴールデンウィーク明けの今日。
清掃で出勤していたのは、私とT中さんとY崎さんの3人でした。
S木さんや課長さんは、連休中の出勤日が多かったので公休です。
病院自体も3日から5日までは休診だったせいか、私の担当する手術準備室や
職員用トイレなども使われた形跡がなく、ゴミ箱も空のまま。
使われていないと言っても埃は積もるので、ササッと拭き掃除等はしましたが
いつもより楽をさせてもらいました。
病室も入院している患者さんが少なめで、掃除がやり易く
いつもより20分近く早めに、全部の仕事を終えることができました。
道具置き場で洗った雑巾などを干していると、T中さんが道具を置きに来ました。
今日の彼女は口角が上がっていて、ひと目で機嫌がいいと分かります。
「ねえねえ、3階にゴミ袋2つ忘れてるけど、あれ、くるさんの?」
そう言われて、初めて置き忘れに気が付いて、お礼を言いつつ
3階に取りに上がろうとすると、T中さんが
「ああ、だったらそのモップ、片付けておいてあげるから行ってきな」
と、私が立て掛けておいたモップ2種類を手に取ると、鼻歌交じりに
モップを置く場所に並べてくれました。
機嫌がいい時のT中さんは、得てしてこんな感じ。
気さくで面倒見がいい雰囲気です。
今日はT中さんが上機嫌なのは、仕事が楽だったのと、S木さんがいないというのが
大きい気がします。
S木さんは、課長の次に現場で責任を持つナンバー2みたいな立ち位置で
平のパートの私達とは上司と部下の関係を基本的に崩さないところがあります。
だから機嫌によって、あからさまに対応が変わるというのは無いし
相手にも『わきまえること』を何気に要求する感じがあります。
それに対してT中さんは親分タイプで、懐に入れば面倒を見るけれど
気に障る相手は感情に任せて叩くような部分もあるのです。
私やY崎さんは、どちらかというと部下であり子分であり
長い物には巻かれろ的に過ごしているので、基本的には波風は立たないのですが…
『上司』と『親分』の相性はどうかと言うと…
なかなか難しいところでしょう。
最近は比較的距離を取っているような2人ですが、そうするのが
一番穏便に済むのかもしれません。