スマホのアラームを午前4時30分にセットして、早めに床に就いた昨日の夜。
目覚ましに起こされ、窓越しに外を見ると、まだ真っ暗でした。
これからこの生活が当たり前になるのです。
まだ少し雪が残る道を7~8分ほど歩くと、職場である病院に着きます。
正面玄関を避けて裏口に回り、休憩室に入ると、守衛さんとS木さんが
机の上にあるテレビを見ながら談笑していました。
「おはようございます。
これからよろしくお願いします」
私がそう挨拶すると、S木さんはこちらに気付いて
「いよいよ来たねぇ」
と言いながらニヤリと笑いました。
まずはいつものように体温を測って記録していると、S木さんに
「最初のうちは私が毎日付いて、手本を見せるから、メモを取りながらで良いから
よく見て覚えるようにして」
と言われ、手順を書いた紙と、大雑把な病院の平面図のコピーを渡されました。
しばらくはS木さんに付いて、自分が掃除することになるコースを回るようです。
道具置き場で必要なものを揃えて、S木さんの後を付いていくと
病棟から少し離れたところにある建物に行きました。
廊下を進みながら、ところどころにある更衣室や倉庫のようなところがあり
途中で寄ってはゴミ集めや床掃除をしていきます。
しばらく行くと、S木さんが
「ここが厄介なんだよねえ…」
と言いました。
ドアの前には『手術準備室』と書かれています。
履物を専用の上履きに履き替えて中に入ると、中は手術用の道具などが載った
金属製のワゴンで一杯でした。
しかも部屋自体がいくつか繋がっていたり、仕切られていたりします。
道具別に倉庫が何種類かあったり、男子用女子用で分かれている休憩室や
ロッカールームがあったり、手術室に繋がる廊下があったり…
先生用なのか、パソコンとデスクが置いてある、小さい書斎のようなスペースがあったり
トイレも1カ所ではなく3か所にあります。
全体が銀色で、似たような道具と似たような棚ばかりで
ちょっとした迷路のような感じです。
ゴミを回収しなければならないゴミ箱と、触ってはいけないゴミ箱も混在しています。
S木さんは慣れているので、次々作業をこなしていくけれど…
これは…憶えるまでかなり苦戦しそう。
他にもいろいろ覚えることは多いのですが、今日は5時間付いて回るだけで
すっかり疲れてしまいました。
これを自分一人で出来るようにならなければいけないのかと思うと…
不本意ながらでも異動を受け入れたのを、早々と後悔しています。